ありきたりなあれこれ

脈絡のない話です

電車にさようなら


公園で娘を抱き上げてる時に、ちょうどすぐ先の線路に電車が通って。

目を奪われてる娘の手をとって、バイバーイとやってみる。

中の人の姿はよく見えなかったけど、あーなんだこれ。
私も乗客だった時、こんな場面見たことあるな、って思った。



結婚して子どもが産まれて
今はほとんど電車に乗らなくなった。

最近になって穏やかになってきた生活だけど、
昔は常に息苦しく、むず痒く生きていた気がします。

ペーパードライバーで、移動手段はもっぱら電車やバスの頃。


楽しそうにしててもいつも息が詰まりそうな気分でした。
いや良いことも嬉しいことも、ちゃんと沢山あったんだけど。


どんな環境にいても途中で違和感がむくむく出てきて、
居心地悪くなる。


仕事も趣味も人間関係も、
基盤がないし、なんとなく作りたくない。


多分過去に囚われすぎてて。

決定的に後悔している出来事が拭えないせいだと思ってたけど、

今考えればその挫折そのものより
心にぼこっとしたシコリを自覚したままに
ヘラヘラ毎日やり過ごしてる自分が嫌だっただけ。


好きになれない私自身が主人公の、綿毛のように軽い人生は
時に楽しくても、
面白くても、
幸せを感じても、
どうやってもやっぱり好きにはなれず。

とにかくだいぶ、もやもやしながら生きていた。


 
他人といたり、ポジティブな空間にいる時は忘れてても
ひとりになった時にふと、呆然とするくらい虚しく。


電車に乗りながら
これからどこかに行く時も、
どこかから帰る時も、

音楽聴いたりメール返したりするのをちょっと止めて
外の景色ぼけーっと眺めたりして

トンネルに入って突然窓に映る自分の顔まじまじと見つめるハメになって
うわーぶっさいくだなーとか軽くショック受けてる、

そんなひとりの時間にほんのり本音が出てきて



あーなんかもう全てがどうでもいい。
投げ出したい何もかも。ぜーんぶ。


って思ったりしてた。
ぶっさいくな顔で。


目的地に着いたら誰かはいるし、
家に着いたらご飯食べたりテレビ観たりして。
朝起きたら仕事とか遊びとか
どこかに行こうとするし、帰ってくるし。

そういうぐるぐるの繰り返しの中。
自分から進んで入っている渦の中。


いつでも、なんの未練もなく断ち切れる気がしてた。
なんでそれができないんだろ。



線路に飛び込むとかそういう深刻な方向じゃなくて
死にたいとか思ったこともないけど、


このままずっと電車に揺られて一生降りたくないなー、とも
逆に今この瞬間にブチっと色んなことが終了してもいいや、とも感じる。

全てのことが非常に面倒くさく
どうでもよくなる時間がとても、とても多かった。


そんなかんじで、がたんごとん電車に揺られてた頃。




窓の外に、手を振ってる親子いたなぁ。



その時、
幸せそうでいいな。
とか
絶対自分はあんなふうにはなりたくない。
とか思ったわけじゃなく。
そんな話じゃなくて。


これといった感想もなく
ただただ私とは無縁な世界だな、と眺めていた気がする。風景のように。

たぶん死んだ魚みたいな目をして、ぶっさいくな顔で。




その瞳に映る、赤ちゃんを抱いてこっちに手を振るお母さん。



に、私はなった。


あの時、1ミリだってそんなこと思えなかったのに。

賞味10年くらいの隔たりが、長いのか短いのかもうさっぱりわからなくなってくるけど。




そうそう、
いつも現時点の自分じゃ到底想像つかないような未来に生きてたりするんだなって。

これから先も、どんなところに自分がいるのかってわからない。
究極、明日死んでしまうかもしれないし。


だからいくら頑張っても絶対、
過去にも未来にも生きれない私達には
今しかなくて。


あとから悔やんだりすることのないように
丁寧に慎重に進めていったり、
時には必死で身を削るように突っ走ってみたり、

人それぞれなんだろうけど色んなやり方で
大事なことや必要なことを見落とさないようにしてくほかないんだろう。 


なんて、思う。


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娘のつむじと、去っていく車両が目に入るとなんとなく切なく。
しばらく見送った。




あの電車の中にもし自分がいたとして
当時の私に言いたいことを考えてみた。

けど、あまり思い浮かばない。


  心配しないで!いつかちゃんと幸せになれるよ、的なことも違うし。


 早く色んなことに気付いて、もっと楽に生きてね。
っていうのも、
近いようで、しっくりこない。


結局なにも言えない。


その電車は必ず着くから降りるしかないんだよ

くらいしか。

でも、言われなくてもわかるだろうし。




センチな物語っぽい、梅雨の晴れ間のひとときに
親子して蚊に刺されすぎて悲惨。